経営理念と経営計画

経営理念と経営計画

経営理念とは

  • 経営理念とは、創業者あるいは中興の祖といわれるトップ・マネジメントによって作成された、その会社の経営哲学や世界観を表現したものです。
  • 例えば、パナソニックの経営理念は

    私たちの使命は、生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること。
    鋼領は、パナソニック・グループの事業の目的とその存在の理由を簡潔に示したものであり、あらゆる経営活動の根幹をなす「経営理念」です。

    【鋼領】
    産業人タルノ本分に徹し
      社会生活ノ改善と向上ヲ図リ
    世界文化ノ進展ニ
    寄与センコトヲ期ス

    (注)現代漢字に直しています(筆者)

  • 経営理念は、企業構成員の経営活動において基本となる考え方と言い換えることができますが、経営活動に及ぼす内容には2種類あります。
    • 経営理念主導型経営=構成員の行動が常に経営理念に準拠している企業
    • 経営理念準拠型経営=経営行動とは直接結びつかないが、常に経営理念を参考にする企業

ワタミ株式会社の経営理念とは

経営理念

  • 地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループを目指して
    変化する社会に応じて「ありがとう」を創造していきます。ワタミグループは、少しでも人や地球環境に良い影響を与えるグループを目指し、活動を行っています。

私たちの目指すもの(企業存続の条件)

  • 企業とは、単なる営利追求組織ではなく、企業市民としての社会的存在であり、社会の一員としての使命(責任)を果たしていることにより、その存在・継続性が確保されると考えています。
  • ワタミでは、この企業観について創業当初から、企業というもののあるべき姿(何のために存在しているのか)を規定しています。それは、今も創業時も変わっていません。
  • 企業は「その企業性(その企業の持つ思い=理念)を高めるべく追求し、実施すること」が存続の条件と考えています。
  • ワタミ株式会社では2009年3月期決算で、連結売上高1112億円、経常利益61億円(前年比18%増)といずれも過去最高益を計上しました。売上高経常利益率をみても5.49%と大変優良な企業であることが分かります。
  • ワタミの業績好調の理由は、常に全社員4,000名に経営理念を徹底しているからであるとしています。同社の渡邉美樹会長兼CEOはこう語っています。
    • 「その理由は、変わり続けているからです。不景気などの外圧じゃなくて、内圧的エネルギーで変わり続けてきたんです。

      それは何かというと、ありがとうなんですね。つまりお客様からもっと喜んでいただくためには何ができるかというのを、現状否定をしながら変え続けてきたわけです。

      ・・・利益だけを求めていたら事故変革が続かない。必ず息切れします。そのために、理念研修会といって、全社員が3か月に1回、僕の話を聞くために集まります。

      ワタミが1店舗目を出した時の話をしながら、みんなにワタミっていったい何をしようとしている会社なのか、何のために存在するのかを考えようとしています」と。
  • まさにワタミの場合は、「経営理念主導型経営」ということができます。このように、明快かつ簡単で誰もが共感できる経営理念であれば、企業全体への浸透がはかりやすくなります。

    ページのトップへ

経営理念の企業構成員に与える影響

経営理念がなくても、売上や利益が順調であれば企業を維持することはできます。しかし、経営理念をわかりやすく成文化することは次の場合に有効です。

  • 経営が苦しいとき、企業構成員の結束がはかれること
    • 企業経営には山もあれば谷もあり、それが普通と言えます。経営理念が威力を発揮するのは、経営が「谷」に至ったときです。

      順調な時にはまとまっていた企業構成員も、苦しくなると気持ちが離れてしまいがちになります。

      策定した経営理念は、苦しい時にこそ、企業構成員が結束した状態に立ち戻ることができる共通の原点になります。
  • すべての企業構成員の道標になること
    • 企業構成員は現状の位置に留まっていたいわけではありません。

      自分の乗っている船の向かう先が分からないと不安になり、「果たして自分はこのままこの会社にいていいのだろうか?」と考えたりするものです。

      自分が望む未来像と会社の未来像がリンクしているかどうか知りたいのです。
  • 私が実業家の一人として尊敬するワタミの渡邉美樹会長は、社員にこう語っています。
    • そもそも「会社って何」といったときに、人、モノ、カネ、情報という経営資源があるけど、僕は人を経営資源だと思っていない。

      人というのは会社そのもので経営資源じゃない。だから不景気になって人を切るということは、自分の体の指を切るのと同じこと。それは最後でしょう。

      通常はご飯を食べるのを我慢する。そして、もうどうしようもなくて生き残れないから、最後に命の次に大切な指も1本ずつ切っていく感覚なのです。
    • 人を切らなければいけないぐらい業績が悪くなってきたら、まず私を含めて幹部の給与を全部なしにします。

      ・・・そして3割社員を切らなければいけないとしたときには、皆さんの給与を30%カットさせてほしい。しかし、仕事は今と同じだけしてほしい。そうすればきっと立ち上がれるから。

      俺たちは家族なんだ。仮に最後に誰かを辞めさせなければいけなくなった時は、私が先に辞めます。その時は、もう会社が倒産した時と同じだ。つまり誰かを切るという時は、もう会社ではなくなった時です。
  • 私もまったく同感です。
    モノがいくらあっても、カネがあっても情報が豊富でも、それらを効率よく価値的に運用し利益を生み出すのは、所詮「人」であり「人の知恵」です。

    「ES(従業員満足度)経営」が中小企業を強くする、と提唱しているのも同じ趣旨です。ワタミの毎年の業績向上の要因が分かるような気がします。

ページのトップへ

経営計画とは

経営計画の必要性

  • 企業は絶えず変化する環境の中で事業を行っており、常に業績の上昇・衰退・停滞等の波にさらされています。

    その中で、ただ漫然と日常の業務に取組んでいる企業と、目標をもって計画的に経営活動を行う企業とでは、数年後に明白な差異が生じてしまいます。
  • 企業の業績を着実に伸ばすためには、経営理念に基づき経営計画を立て、将来像を明確にし、その実現のために行動する必要があります。

    また、資金調達などの際、例えば金融機関においても、将来を見据えて計画的な経営を行っている企業には積極的に資金を融資しようと考えます。
  • 従って、企業を成長させようという視点や、金融機関など外部機関の信頼に足る企業を作るという双方の視点から、経営計画を立てる必要があります。

    つまり、経営計画は次の3点の機能を有しているのです
    • 経営者が自らのあるべき姿を具体的に提示する「ビジョン具現化機能」
    • 効率的に経営のあるべき姿を実現する「経営管理機能」
    • 資金提供者から資金を得るための資金提供者に対する「経営内容説明機能」
  • 経営計画は、経営者が企業のビジョンや経営戦略に従い、3~5年の中期的な目標を立て、月次、四半期、年度単位の企業活動目標と、

    これを達成するための具体的方策、そしてその結果、自社がどのような経営実態を示しているかを表した数値を示さなければなりません。

経営計画策定のプロセス

経営計画は、「行動計画」「利益計画」「資金計画」に大別され、「利益計画」はさらに「売上計画」と「費用計画」に分けられます。

【行動計画】

  • 経営戦略を実現するために具体的な行動計画を策定します。

    行動計画はできるだけ具体化し、各部署が何をやるべきか、誰が担当者となってどのような業務を行うべきかを明確にすることです。

【利益計画】

  • 実現したい利益と、実現できる利益の双方を勘案して、目標とする利益を決定する。

    目標とする利益は、頑張れば実現できるというレベルで設定することが望ましいとされています。

【売上計画】

  • 自社がとる経営活動による各方面への影響と、目標とする利益に必要な売上を検討することにより策定します。

    売上総体を検討するのではなく、売上を細分化し、過去のトレンド、市場の動向、競合他社の状況、自社が実施する施策を考慮し、より正確な売上計画を策定するよう努力する。

【費用計画】

  • 生産、従業員数など、費用に関する項目を細分化し、それぞれについて計画を立案し、変動費、固定費に分けて策定します。

【資金計画】

  • 売上計画と費用計画に基づいて、資金が、いつ、いくら必要になるかを検討して、資金調達及び返済計画を策定します。

    注意すべきことは、いくら計画上の目標利益を達成しても、(1)必要な時に支払うべき資金がなければ企業は倒産すること、(2)売上が伸びている場合であっても、経費が多くかかるようになり現金が不足するという事態が起きることもあることを十分認識する必要があります。
  • 従って、販売や仕入などの取引とは別に、資金それ自体の出入りを管理する必要があります。

    いわゆる資金繰り悪化の理由は、企業における収益・費用と資金の収入・支出とが必ずしも時間的に一致しないためです。これは、利益額の増減と手持ち資金の増減が一致しなくなることを意味しています。

ページのトップへ

資金表作成の目的と種類

資金表作成の目的

  • 企業の経営成績は損益計算書で確認できます。しかし、その経営成績と実際の資金収支は一致しません。

    従って、経営成績のみにとらわれた経営診断や企業活動だけでなく、「資金表」による管理、つまり資金という視点から企業の状況を管理することを目的としています。
  • また、それは企業内部だけでなく、企業のステークホルダー(利害関係者)に対しても、投資判断などの適切な情報を提供する役割も担っているのです。

資金表の種類(3種類)

  • 資金繰り表(現金収支と現金残高の両面から短期的な資金を管理するもの)
  • 資金運用表(資金の調達と運用の両面から主に中長期的な資金管理を行うもの)
  • キャッシュ・フロー計算書(営業・投資・財務の3つの側面から資金戦略の総合的な管理を行うもの)

経営計画の実行管理の方法(モニタリング)=「PDCAサイクル

Plan(計画を策定/修正)

  • 実現可能な根拠のある経営計画の策定をすること。
  • 計画と実績とのかい離を解決するために計画を修正すること。

Do(計画を周知徹底して実行する)

  • 各社員に経営計画の理解を促し、社員1人ひとりが責任をもって計画を実行すること。

Check(計画の進捗状況を管理する)

  • 計画の進捗状況をチェックする時期及びチェック項目を定めておき、計画と実績の違いを把握する作業を行うこと。

Action(計画と実績とのかい離を分析・解決する)

  • 計画と実績にかい離が生じた原因を明らかにし、解決手段を検討すること。

ページのトップへ

計画のチェック/アクションの手順

  • 計画の進捗状況を適切にチェックするためには、何を、いつ、誰が、どのようにチェックするのか、ということをあらかじめ明確にしておく必要があります。

    そして、計画と実績に重大なかい離が生じていた場合には、対応策(アクション)を取ることが重要となります。

何を

  • 個々の社員が、それぞれ責任を持てる範囲内で、重点的に管理すべき項目をあらかじめ明確にしておきます。

    その管理すべき基準とは下表のようなものが挙げられます。
    定量的な会計指標売上高、営業利益、市場シェア、販売単価、ROE等
    定量的な非会計指標各種コストダウン目標、新製品数、特許数、人員数等
    戦略上の定性目標新人事制度の導入、システム化、マーケティング調査
    ※.「ROE」=自己資本利益率=当期純利益/自己資本×100%のことで、この比率が高ければ高いほど、総合的な収益力は良好と言えます。

いつ

  • 会社、部署、グループごとに管理すべき目標を定期的にチェックする期間をあらかじめ明確にしておきます。
  • 例えば、各部署では「毎月」、各チームでは「毎週」、というようにチェックする期間を定め、目標値との差異の分析を行う。

誰が

  • 目標ごとに誰が責任を持って管理するのかをあらかじめ明確にすること。
  • 例えば、店舗では店長がパートの管理を行い、人件費目標達成の責任を持つ。

    各売り場では人件費に関しては責任を持たないが、担当商品の売上目標達成に責任を持つ、というように責任を明確にすることです。

どのように

  • 情報」がどのような形で報告・共有され、チェックされるのかをあらかじめ明確にしておくこと。
  • 例えば、「月に1度開催される取締役会の場で、前月の業績が報告される。この取締役会には必要に応じて、金融機関の融資担当者、会計士/税理士にも参加してもらう」というように、

    情報を共有するための方法を明確にしておくことです。

対応

  • 計画値と実績値に大きなかい離が生じた場合は、対応策を考案・実施すること。
  • 例えば、目標としていた費用の削減が計画より遅れた場合に、関係部門の代表者が集まって集中的に、費用削減の方法を検討する、等の対応を取ることなど。

    ページのトップへ

powered by Quick Homepage Maker 4.23
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional

「経営」「経営理念」「経営計画」「企業戦略」「経営戦略」「SWOT分析」「バリューチェーン分析」「バランススコアカード(BSC)」「ファイブフォース分析」「VRIO分析」「標的市場」「マーケティング」「マーケティング・ミックス」「競争戦略」